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大学の有機化学系研究室ってどんな感じ?経験談まとめ

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色々

こんにちは!将来、理系の道に進みたい、研究室配属で迷っている、という方たくさんいると思います。私は大学院まで進学し、計3年と半年間、研究室生活を送りました。分野は有機化学+生物科学です(主に有機化学)。今回は、そんな私の経験をまとめてみたいと思います!参考にしていただければ幸いです。

まずは、有機化学の魅力について

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自らの手で新たな分子を創造することができる

理系文系問わず、いかなる専門分野にもそれぞれの面白さがありますよね。ちなみに私は、物理化学が学問の中で一番興味深いと思っています(ですが、私の頭では到底理解できませんでした笑)。有機化学の研究室を選択した理由は、まず第一に、教授がとても面白い人だった、という点です。面白いというのは、人間的にということもありますが、何よりも有機化学に対する生き生きとした熱意にやられました笑。有機化学系研究室といいましても、分野がいくつか存在します(高分子化学、触媒化学、反応化学、天然物化学….etc)。私が所属していた研究室は、生理活性を有する天然物をもとに、新たな生理活性物質を合成探索していくことが大きなテーマでした。簡単に言うと「医薬の開発」です。合成した分子を生物評価して、その結果をもとに構造に手を加えることで高活性な分子へとブラッシュアップしていく、というのが主な研究内容です。考えていたよりもとても泥臭い作業で、これだ!というものに出会うのはセンスと運が必要になります。ですが、未だこの世にない自分の手で新しい分子を創ることができる、という点に最大の魅力を感じました。自分で合成した新しい分子、しかもその分子が何らかの機能を発揮するとなればあればもうかわいくてかわいくてしょうがなかったです笑。

どんな生活スタイルになるの?

ほとんどの大学では、研究室に所属すると授業がある時間以外は研究室で生活するようになるかと思います。また、「コアタイム」という、確実にこの時間帯は研究室にいてくださいね、という時間が設けられている研究室も少なくありません。実際、私の研究室では「朝9時から暗くなるまで」と先生に言われていました笑。ですが、教授は夜九時までは絶対に居たため、9時~21時までが学生の間では当たり前でした。とは言え、厳しい研究室ではなかったため、昼間居なかったり、夕方から朝方まで実験する人もいました。「おーばーないとで実験するぜ」なんてのもたまにありました。有機化学系の研究室は実験内容からも拘束時間が長くなる場合があり、ほかの分野から比べると「ブラック」と言われがちではありました。ですが、みんな好きで実験している面も強かったですから、私は全く苦ではありませんでした。企業に入れば、否が応でも遅くまでは実験できませんから、むしろ楽しくやっていたと思います。精神衛生上はクリーンホワイトでした笑。もちろん、研究で行き詰まったり、学会準備やらなんやらで、ディープブラックなときもたくさんありましたが、どれも今となってはいい経験でした。生き物を扱っている研究室だと、休日関係なくお世話をしなければいけないため、長期の休みもなかなかとれないようで、大変そうでした。私の妹はイモリの研究室にいたため、年末年始も「イモリたん見に行ってくる~」と大学に行っていました笑

危険な目に遭ったことはある?

大学レベルの研究でも、危険な試薬はたくさん使います(もちろん、届け出が必要なものもあります)。そして、実際に事故も起きています。不斉触媒でノーベル賞を受賞した野依先生も、助手時代に爆発事故に見舞われて、大けがを負われています。また、世界的に有名な有機化学者、シャープレス教授も、破裂したガラス管が目に刺さり、左目を失明しています。また、試薬が発火して、それが着衣に引火し、全身やけどを負い亡くなってしまった方もいます。このように、有機化学の世界では悲惨な事故が多々報告されています。実は私も、、、強酸を数滴こぼしてしまい、化学やけどを負ったことがあります。味わったことのない激痛でした。まだデコルテの部分に跡が残っています(悲)。これは私の不注意が原因でしたが、安全意識を常に高く持っていなければならないと再認識した出来事でした。

また、発がん性のある揮発性物質も多くありますが、最近の大学の排気設備はしっかりしていますし、環境チェックを定期的に業者が行いますので、健康面での心配はそこまでないと思います。

これは教授から聞いた話ですが、、、有機化学者のお子さんには女の子が生まれる確率が高くなるとかなんとか、、、笑(実際大学の先生方のお子さんはみんな女の子でした)。

就職先はどんなところ?

これもさまざまですが、私の研究室では

  • 企業の研究員
  • 品質管理
  • 公務員
  • ポスドク(アカデミア)

という感じでしょうか。もともと薬学部志望だった人も多くいたため、製薬メーカーの品質管理というOB・OGがたくさんいます。有機化学を専攻している学生の数は多く、その中のたった一握りのひとしか、製薬メーカーの研究員にはなれないのが現状です。ですから、研究過程で得られた分析機器を取り扱うスキルを活かして、品質管理、技術職に就かれる方が多いです。また、研究室でやっていたような実験ではなくなるけれど、化学知識を活かして異なる分野の研究員になる方もいます。研究内容は違えど、研究精神、ものづくり精神は自ずと培われてゆくものですからね。化成品や農薬、香料も人気の分野です。公務員になる人もいます。研究と公務員試験を両立するのはそう簡単ではありませんが、頑張っていました。さらに、今日本でも博士号取得者の厳しい現実が問題視されていますが、アカデミックに残る、という人も少なからずいます。かなり変人な方が多いですが笑、ストイックに実験に取り組む姿勢はとても尊敬しています。是非将来の日本の科学力になっていって欲しいです。

といったように、進路は様々です。流されず、自分の道を行ってほしいなと思います。とは言え、研究室生活で形成されてくる気持ち、というのは大分進路に影響してくるかと思います。実際、企業に就職したいのであれば、研究テーマは大きく影響します。ですから、研究室選びは慎重に!

以上、私の研究室生活をもとにまとめてみました。

それではまた。

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